歯周病の影響により歯を失ったり柔らかいものを多く食べていたりすることにより、 歯だけではなく顎にも影響をおよぼしてきます。
歯と顎(あご)の役割は一般的に発音や食事をするためにあると思われています。一日24時間のうち食事で歯を噛み合わせている時間は、長くて1時間ぐらいです。残りの23時間で発音の他にどのような役割があるでしょうか?
人が寝ている間に歯を食いしばる力は?
寝ているとき、顎を左右に動かし音がするのを歯ぎしりといいますが、フランスパンを噛み切るときの3倍弱の力。顎には想像以上の負担がかかっているのです。
実は上下の歯を噛み合わせることによって、骨格、筋肉のバランスをとったり自律神経に働きかけて消化器をはじめ脳や脈管系の仕事を正常に機能させたりしています。また、人間は夜寝ている時に必ず歯を食いしばっている時間があります。この行動は起きている時のストレスを発散していると考えられています。このくいしばっている時、音が鳴る事を歯ぎしりといいます。
この時に上下の歯で噛んでいる力は成人で約80kgあります。普通、フランスパンを噛み切る力が約30kgですから、歯と顎には考えられないほど大きな負担がかかっています。
このように、歯と顎、噛み合せには色々な全身に及ぶ役割があります。ですから一本の歯を治療する時、その一本の歯だけではなく、他の歯全部と噛み合せ、全身の状態に注意しなければなりません。
右記のように、歯の噛合わせのズレは全身に連鎖的に影響があらわてきます。骨格が歪んでくると、内臓の所定の位置がズレ、身体の中の循環がスムーズにいかず、ほんの小さなことから大きな病気の原因にまで及んでしまうことがありうるのです。
当医院では、虫歯や歯周病によって歯が無くなり放置したために、くずれてしまった噛み合せや、歯ぎしりやくいしばりによって磨耗してしまった歯、噛み合せの異常からと思われる首や肩こり、腰痛など、歯だけではなく全身と噛み合せの関係も慎重に考えて患者さんとよく話合い治療を行っています。気軽にご相談ください。
これは小学生向けの歯の大切さを知る動機付けとしての興味深い話です。
ある有名な歯の先生がいました。その先生は、歯が悪かったら身体がどうなっていくかを調べました。人間で調べることができないので、人間に近いサルを身代わりにして調べました。
まず、三匹の子ザルを連れてきました。
一匹は歯が全部そろっています。(Aのサル)
二匹目はかわいそうですがよく眠らせておいて、右側の上下半分の歯を抜いてしまいました。(Bのサル)
三匹目は上の歯を全部抜いてしまいました。(Cのサル)
この三匹のサルを育てることにしました。
最初はリンゴを与えました。
Aのサルに与えたところ喜んで全部食べてしまいました。
Bのサルに与えたところ、なかなかたべれません。
そこで、このサルには細かく切って食べさせました。 Cのサルに与えたところ全部食べれません。このサルには、リンゴをすって食べさせました。
こうして、三匹のサルにほしいものを形を変えてたべさせました。やがて、三匹とも同じように立派な身体に成長して、身長も体重もほとんど差がありません。歯が悪くて、かむことができなくても、良く世話をして、十分な栄養分を与えてやれば、同じように育つことがわかりました。
そこである日、三匹のサルに綱渡りの芸をやらせました。
Aのサルは、上手に全部渡ってしまいました。
Bのサルは、 半分位まで渡ると落ちてしまいました。
Cのサルは、上がるとすぐ落ちてしまいました。
こうして、色々ことをやらせましたが、Bのサルは何をやらせても半分位までしかできず、Cのサルは何をやらせてもできません。
それからしばらく経ったある日、一匹のサルが死にました。
それはCのサルでした。かわいそうなので、何故死んだのか色々調べてみたら、脳みそが歯を抜かれた子ザルの時から大きくなっていないことが、わかりました。 びっくりしました。
それから、しばらく経って、また一匹のサルが死にました。
Bのサルです。調べてみると、脳みその左半分が良く育って、右半分は子ザルのときからあまり大きくなっていませんでした。
Aのサルは元気で長生きしました。
この実験からもわかるように、歯は想像以上に大切な役割があることがわかります。食物を食べるための機能だけはなく、ものを噛むことによって運動能力や脳の成長に大きくかかわりを持っているのです。
歯を失うことは、顔から美しい表情や発声を失うだけではなく様々な生活能力、脳の成長をも失い、さらに生命をもおびやかすことになりかねません。歯を失う年齢を伸ばす、つまり歯の寿命を伸ばすことは、元気で若々しくいられることでもあります。この実験は、改めて歯の大切を私たちに教えてくれています。